開発が進まないとき、意外と見落とされているのが説明資料づくりにかかっているコストです。受託開発やDXコンサルティングに関わるエンジニア・PMであれば、一度はこういう経験があるのではないでしょうか。要件定義が終わったのに、なぜか開発が進まない。振り返ると、たいてい私たち開発側も顧客も「説明資料づくり」に追われています。しかもそのコストに、誰も気づいていません。
誰もまだ正解を知らない、手探りの受託開発やDXコンサルティング・PoCを進めると、現場の顧客担当者がシステムを理解できなくなります。現場が理解できなければ、決裁する役員はなおさら理解できません。 「現場はわかっているが上が通してくれない」「役員向けの説明資料をまた作る必要がある」――こうした状況に心当たりはないでしょうか。要件定義・仕様確定後も私たちは説明のための資料づくりに追われ、開発に集中できないまま、プロジェクトは頓挫します。 これはプロダクト開発におけるPMFと同じ構造です。顧客に価値を簡単に理解してもらえない製品は売れない。受託である以上、売上は立つかもしれませんが、顧客も現場も不幸せです。
厄介なのは、この状況が「問題として認識されにくい」点です。 私たち開発側と顧客の双方が説明資料づくりにコストをかけていることに気づかないまま、時間だけが過ぎていきます。そしてプロジェクトが遅延したとき、原因として挙がるのは「開発手法」「技術力」「工数見積もり」です。振り返ってみると、本当にそれが原因だったと言い切れるプロジェクトはどれだけあったでしょうか。 本当の問題は別のところにあるのに、見当違いの反省だけが残ります。
解決策の前に、まず認識が必要です。先週一週間で、説明資料づくりに何時間使ったか、すぐに答えられますか。おそらく、思っているより多いはずです。 プロジェクトが遅延したとき、原因を「開発手法」「技術力」「工数見積もり」に求める前に、この問いに答えられるかどうかが分岐点です。問題を正しく認識できているチームとそうでないチームでは、同じ遅延でもそこから先がまったく変わってきます。